皆さん、こんにちは。

(株)One’s Voice、代表取締役の佐山裕亮です。

今回のコラムでは「経歴」についてお話していきたいと思います。

この「経歴」というところについて、役者や声優、MCの皆さんは結構気にされている印象を受けます。

自分自身もかなり気にしていました。

ここで勘の鋭い方は「過去形だな…」と感じるかもしれませんが、自分自身の経験や思いも込めて書いていければと思っております。

「実績」は大事だが、「経歴」はそれほどでもない

はじめに結論から申し上げたいと思いますが、「実績」は大事だと思いますが、「経歴」はそれほど大事でもないと考えています。

というのも、誰しもが「初めて」の瞬間はあり、どんなにベテラン、どんなに経験豊富、どんなに活躍している人にとっても「最初の一歩」が存在するからです。

そこで信頼を勝ち取って、リピーターを作り、新たな分野にもチャレンジし、そして「実績」が積み上がっているということを理解することが大事です。

実績が積み上がれば、あとは末広がりです。

実績があればあるほど、クライアント側からすれば安心感があります。

このプラスのサイクルをどうやって作り上げるかを考えていって頂けたらと思っています。

「実績」も「経歴」も過去のことであることは変わりません。

ただ、ここで意味合いとして変わってくるのは、「実績」は仕事の積み上げであり、「経歴」はそこに至るまでの過程であったり通過点に過ぎないということです。

つまり、前者は仕事の結果、後者はどういう道を辿ってきたかということです。

大事なことはクライアントに満足してもらうこと、そこに経歴は関係ないと思っています。

大事なのは現在であり、これからであるというのが僕の考えです。

ですから、皆さんには「実績」を大事にしてほしいと思いますし、「経歴」は気にしなくていいと思っています。

僕は逃げ出した、いわゆる「落ちこぼれ」

ここで僕自身の話をしましょう。

僕はいわゆる「落ちこぼれ」でした。

大学生時代、声優を目指して、当時声優養成所としては非常に有名だった勝田声優学院に入りました。

勝田声優学院は実績十分、卒業生に有名な声優が何人もいる、カリキュラムや内容もトップレベルの養成所でした。

また、非常にスパルタ教育を行うということでも有名でした。

スパルタといっても身体的な指導があるということではなく、非常に厳しい世界であること、生半可な気持ちでは声優になれないこと、そういったリアルな現実を叩きこまれました。

それでも声優になりたい覚悟があるのかどうか、売れるかどうかも分からないのにしっかりとモチベーションを持って臨んでいけるかということを試される場だったのです。

なので、入学して3カ月ほどで同期は半分ほどになり、半年経つと3分の1ほどになり、1年経つ頃には4分の1から5分の1に減っていくというのが毎年のことだったようです。

自分で言うのもなんですが、入学した当初、同期の中ではトップクラスの成績を自分は残していたと思います。

元々演じることが好きでしたし、声も大きかったし、評価も頂いていたので、多少天狗になっていたところも今考えるとあったと思います。

周囲は未経験の方が多く、勝田声優学院は中学を卒業して入学試験に合格すれば入れましたので、在籍最年少は15歳でした。

自分はその頃20歳。

そういった中で多少経験を積んでいた自分に、最初はアドバンテージもありました。

ただ、少し時間が経つと、そういった若い人たちが経験を積み、勉強や努力を重ね、どんどんと自分を抜いていきました。

その事実に衝撃を受け、だんだんとメンタルやモチベーションが落ちていくのが自分でも分かりました。

そんな時に当時自分の面倒を見てくれていた安達成彦さんに言われたんですね。

「お前は本当に声優になる気があるのか？」

「4年生の大学に通っていて、他になれるものもたくさんある中で、それでも声優になりたい理由は何だ？」

「お前は甘い。声優の世界には来ない方がいい。」

ストレートにそんな言葉を受けた時に、自分の心はつらさでいっぱいになりました。

今考えると、とっても正しくて、とっても的を射ていて、とっても愛情のある言葉だと思いますが。

当時の自分にはそれを理解できるだけの能力や考え方はなく、結局途中で逃げ出してしまいました。

だから、「経歴」としては、勝田声優学院に入学して通ってはいたけれども、卒業はしていない。

いわゆる「中退」のような形になっているんです。

そこから就職して、働いて、でも諦めきれなくて。

結局は会社を辞めて演技の世界に戻る形になるんですけど、ずっと自分で引っ掛かっていたことがありました。

「そうやって逃げ出した人間が、またこの世界で売れようとするのはダメなのではないか」と。

もちろん売れたかったし、活躍もしたい。

でも経歴としてそれを書くのは、自分自身のマイナスをさらけ出すようでずっと気になっていましたし、どう思われるのかを気にしてしまっていたんです。

でもとある時に自分自身の考え方を変えました。

どんな失敗、どんな後悔、どんなマイナスがあっても良い。

そこから何を考え、何を改善し、何を成し遂げたかの方がよっぽど大事なのではないかと。

考え方を変えてからは、しっかり自分の「実績」を伝えられるようになりましたし、「経歴」も気にせずに伝えることができるようになりました。

だから、諦めた時があっても良い、途中で逃げ出したことがあっても良い、そこから何を学んで、今現在どうしたいのかということを大事にしてほしいと思っています。

年齢も関係ない

それを踏まえると、年齢も関係ないと僕自身は思っています。

もちろん、遅くなればなるほど厳しくはなります。

プロダクションは若くて将来性のある人を採用しやすいですし、門はどんどん狭くなるのは事実です。

でも、本当にやりたかったら、どんな形でも良いからスタートさせたいと考えるなら、年齢は関係ないですよね。

むしろ、すぐにスタートさせた方が良いと思います。

これからの人生で最も若いのは、10年後よりも今日、1年後よりも今日、明日よりも今日なのですから。

「年齢が…」とか「これからやっても…」というのは厳しくはっきり言うと、言い訳でしかありません。

やれない理由を探すより、やれるように考える方が有益だと思いますよ。

やれる形を考える

とは言え、色んな事情や生活環境、生活基盤があると思います。

人は食べないと生きていけませんし、お金がないと食べるものを買うことができません。

そういう意味で、生活していくお金というのは非常に大事です。

だからこそ「やれる形」を考えるんです。

この考え方を会得することは非常に大事ですし、目指す方にとっては大きな心の支えになります。

しっかり生活を守った上で、自分のやりたいことにチャレンジできる環境。

これを作ることが、最も大事なことなのではないでしょうか。

最初の一歩を踏み出してみませんか？

(株)One’s Voiceでは、そんな経験をしてきた僕が指導するワークショップがあります。

今までの自分の経験を踏まえ、皆さんに同じ轍を踏ませないようにアドバイスもさせて頂いております。

考え方はシビアかもしれませんが、その分、皆さんにリアルを伝え、その上で解決方法はどんなことかということも一緒に考えていきます。

もちろん目標や達成したいことは個人によってそれぞれですので、それを伺った上でカリキュラムなども作成させて頂いております。

簡単な世界ではありませんが、やりがいがあって、非常に楽しい世界です。

一歩を踏み出したいという方は、是非ご連絡下さい。

まとめ

自分の経験を基に書いてまいりましたが、「実績」は非常に大事ですが、「経歴」はそれほど大事ではありません。

大切なのは「クライアント様に満足頂けるような仕事が現状できているかどうか」や「自己研鑽に時間を費やせているかどうか」、「努力が継続できているかどうか」。

それが達成できているとすれば、昔の経歴はさほど重要ではありません。

一度諦めてしまったけれど、やっぱりどうしてもチャレンジしたい。

そういった方は気後れせず、自分自身の気持ちに素直になって頂ければと思います。